芭蕉の弟子で、広瀬惟然という俳人がいる。そして、住んでいた家が「弁慶庵」として、関市内に現存する。初めて訪れた時が、私が高校生の時、そして二回目に訪れたのが本日。昔の、茅葺のあずまやではなく、サッシまでは入った綺麗な庵。訪問者は私一人。にもかかわらず案内の人は事細かく説明された。その親切さも嬉しい。
　庭は、こじんまりとして、五月雨の日に観賞するのはちょうどいい。広瀬惟然の句は、漱石、芥川の小説にも出てくるほどの名人であるといい、また芭蕉にも期待されていたようである。
　そこで、案内の方曰く「関にも有名なところがあるんですが・・・。」私曰く「関市はPRが下手なんですね。」
　しかし、下手でいい。こんな静かな、ひっそりとした庵が、観光客でワイワイされたら、たまらない。ゴールデンウイークの雨の中日、静かな近くのほんのわずかの一人旅。
　こういう連休もあっていいものである。

残念ながら、K氏は市議会に行くこは出来なかった。
しかし、本日、お礼の電話があった。残念な結果になったことと、前回より票数が伸びたことにである。
　いったい、議員さんたちは選挙の時だけ、お願いに来て、当選すれば、自分の力だとの行動。落選すればしたでそのまんま。かって落選した人から一度だけお礼の電話があったが。
　事前運動は行うが、事後運動はやらない。人にお願いした以上、どんな結果になろうと、一言は必要ではないか。K氏はそんなことでも筋を通す人である。

市議会議員の選挙真っ盛りである。投票は今度の日曜日。「よろしく」という電話も多い。前回の選挙では、電話で「○○さんですか？」「いいえ、違います。」と私。「××さんですか？」私は言う。「いいえ、違います。」「それじゃ、▽▽さんですか？」私は答える。「いいえ、違いますよ。」先方は言う「市議会候補の○×ですけど、今度の選挙ではよろしく頼みます。」と私は、呆れて適当に返事をしておいたが、人にお願いする態度ではないではないか！そんな時に昼過ぎに「○▽さんですか。」との電話「いいえ、違います。」と答えたのだが、先方は「忙しい中申し訳ないですが」と話を続ける。「私は○▽ではないです。ごめんなさい。」と電話を切った。多分選挙の電話だと思う。
　時刻はその１時間ほど前、市議会に立候補した知人のKさんの選挙のお願いの電話が入った。声が本人とよく似ているので、聞いてみるとKさんの息子さんだという。どうりで似ているはずである。
　Kさんといえば高校の先輩で昨年まで同業者でもあった人。高校時代から、曲がったこと、理に合わないことは黙っていられない人。以前、市会議員がブラジルでサンバを公費で見たことで裁判までしたという硬派。少し長くなったが会話は進む。「ｋさんなら、不正、なあなあ体質の他の市議会議員からは、嫌われ、市民からは『よくやった！』なんて言われる人ですから、応援します。」と言えば、彼は言う。「厳格な父ですから。」
　この、厳格な父、言いかえれば昭和の親。最近こんな人は少なくなっているような気がする。テレビのおちゃらけ番組を見て、ケタケタ笑う、ビールを飲みながら野球中継中のテレビに向かって大声を張り上げる。日曜日は昼間で寝て、午後からパチンコ。こんな親でいいのであろうか。
　子供が「厳格な父です。」と言えるような父親。いいではないですか！

どこかの予備校か塾の先生が言った言葉がある。「君たちは無限の可能性がある！」と。それが拡大解釈され「若者には無限の可能性がある。」となる。本当に無限の可能性があるのだろうか？もちろん、大人と比べ残された時間が多いことと、まだ何物にも染まらない純粋な心があれば、親である大人よりはるかに可能性が大きいことは言うまでもない。しかし、それが無限となると？　　
　ときどき（否かなり多いのだが）これを真に受けて子供に何種類かのお稽古ごと、スポーツ、学習をやらせる親がいる。そして、それが毎日になり、場合によっては一日に梯子をする場合、土・日曜日にはスポーツ少年団として休みを与えない。そしてどれもある程度の成果を望むのである。その結果、どれも一定のレベルまで達することなく、親は、その結果に頭がカッカカッカするのである。
　スポーツもエースになれ、勉強も一番になれと言われ、結局子供はプッツンし、登校拒否、ひきこもりとなった例も私は見てきた。そして、親はその原因に気が付いていないのである。
　かつて、文科省の政務次官が「小学生から英語をやると、日本語がおろそかになり結局アブハチ取らずになってしまう。」と述べたことがあったがまさにその通りである。
　子供に多くのことを望んではいけない。少なくとも週の半分は家庭にいるべきであり、土曜か日曜のどちらかは少なくとも家庭の日にすべきである。遊び上手な子供がj優秀ということは結構あるものである。